自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件は、安倍派の所属議員の逮捕に発展した。
7日、政治資金規正法違反の疑いで、東京地検特捜部に逮捕されたのは、自民党の池田佳隆衆院議員(57)=比例東海、当選4回。派閥からパーティー券収入の一部をキックバックされていたとされる議員の一人だが、疑惑が発覚して1カ月以上、「雲隠れ」したままだ。
池田氏とはどんな人物なのか。(デジタル編集部)
安倍派では、所属99人の大半がキックバックを受けていたとされる。その中でも池田氏にキックバックされた額は突出している。
逮捕容疑では、時効がかからない2018年以降の5年間で、派閥からキックバックされながら、自身の政治団体の政治資金収支報告書に収入として記載していなかった額は約4800万円に上るとしている。
特捜部は昨年12月27日、池田氏の国会議員会館の事務所などを捜索していた。
◆安倍元首相と出会い政界へ
池田氏は、海部俊樹元首相らを輩出した名古屋市の名門、東海高校出身。20代半ばで化学薬品会社の経営を父親から継ぎ、2006年には日本青年会議所(JC)の会頭を務めた。
政治家の道に進んだのは、安倍晋三元首相(故人)との出会いだった。
池田氏は、自身のホームページで「政治家を志すきっかけは、安倍官房長官(当時)との会談。この国を愛し、国民を守ろうとする強い意志とお誘いに惹(ひ)かれて、町工場から政界へ」とつづっている。
2012年の衆院選で、愛知3区(名古屋市昭和区・緑区・天白区)から立候補し、初当選した「安倍チルドレン」の一人だ。
2007年発行の自著でも、安倍元首相との写真を載せ、「日本に蔓延(まんえん)している拝金主義の恐ろしさ」に対して「日本の道徳心」などを訴えている。
保守派の文教族として、2021~22年に岸田内閣では文部科学副大臣を務めた。
2014、17、21年の衆院選では、立憲民主党の近藤昭一氏に敗れ、比例復活で当選している。
◆市教委「圧力」問題でも雲隠れ
池田氏は昨年11月下旬に裏金疑惑を報じる週刊誌の記事が出て以降、国会を欠席し、公の場に姿を見せていない。ホームページのブログも9月以降、更新されていない。
複数の自民関係者が電話しているが、本人だけでなく、秘書ともつながらないという。
2018年には、文部科学省の前川喜平元次官が名古屋市の中学校で授業した際、池田氏らが文科省に照会するなどした「教育現場への圧力」問題が発覚。文科省は池田氏らから照会を受けた後、名古屋市教委に、前川氏の中学校での講演内容を詳細に聞くメールを送っていた。
この時も約1週間、公の場から姿を消し、党内外から批判を浴びた。