子ども向けオンラインプログラミングの中でも、業界に先駆けて生徒とのマンツーマンレッスンを行ってきた株式会社プロキッズ。
コロナで学校やスクールが休校となった2020年、子どもたちの学びを止めないために学習支援プラットホーム「Code Land」をリリースしました。
今回はプロキッズ代表の原 正幸氏に「Code Land」開発からその先に描く未来を聞いていきます。
プログラミング学習支援プラットホーム「Code Land」
▼子どもが生まれ「プログラミング教育」の重要性を実感、そして起業
——プロキッズを起業しようと思ったきっかけは何でしたか?
大学時代は家庭教師をやっていたので、子どもが生まれたことを機に、教育への強い興味がありました。AIなどによって将来の職業も変化する中、自分の力で考えたり、形にすることが子ども達の将来はどんどん求められていきます。
教育とITに関わるものをかけ算したときに、プログラミング教育が思い浮かびました。ただ、5年前は子ども向けのプログラミングスクールは数社しかありません。そこで子ども達にもScratchだけでなく、好きなプログラミング言語が学べて、みんなが今やりたいこと、将来なりたいものを実現できる場を作ろうと、東京都港区にプログラミングスクールと全国から学べるオンラインレッスンを始めました。
プロキッズ御成門校でのイベント時の様子
——プロキッズのレッスンについて教えてください。
プロキッズが目指す、プログラミング教育のゴールは、自分の力で好きなものを作りだすといった「モノづくりできる人」になることです。オープン当初から心がけているのは、2つあります。
1つめは、オリジナルテキストにも答えが書いてなかったり、先生もなるべく答えをいわないことです。生徒が授業でテキストをそのまま作っておしまいという受け身の授業ではなく、自分で考えたり、最終的には自発的に好きなものを作れる学びを重視しています。習ったことが大事なのではなく、習ったことを生かしてアウトプットできる「主体性」を大事に教えています。
2つめは、学び手である「生徒が主役」であるという考えから、「Learner First(ラーナーファースト)」という考えです。特に教育の現場では、先生が主役になってしまいがちです。30人クラスで1:30だと、生徒一人一人を細かく見ることは現実難しいからです。
プロキッズが少人数制にこだわっているのは、子どもたちが自分のやりたいこと、好きなことをやろうとする時に支えてあげたいからです。そのためにも、少人数性の授業にこだわっています。
オンラインレッスンでは1:1で生徒の良きサポーターをめざす
▼主役は生徒!学びを止めない「Code Land」をリリース
——そもそも「Code Land」とは何でしょうか?
「Code Land」はプロキッズのプログラミングレッスンで使用している学習管理システム(LMS)です。生徒のモチベーションを一番重視しています。なぜモチベーションが大事かというと、今まで多くの子ども達に教えてきましたが、モチベーションが高い子達は、先生がいない状態でも学べるんですよね。
そして主体的に学ぶことを教育のゴールにしているので、「Code Land」を通じてプログラミングを学べて、アウトプットが出せる場にしていきたいです。
たとえば、サッカーやテニスでも試合でゴールをきめることが一番楽しいのに、練習では走ったり筋トレばかりしているとつまらないじゃないですか。それと一緒で、プログラミングのテキストも作品という、アウトプットが常に見える状態で、その目標に向かって頑張って学んでいくという流れを意識しています。
▼好きな時に好きなだけ学び放題+わからないを残さない
——「Code Land」を開発しようと思ったきっかけを改めて教えてください。
先ほど「学びの主役は生徒」という話をしましたが、生徒がいつでも自由にテキストを見て学べるようにしたかったからです。2020年の緊急事態宣言では学校もスクールも2カ月近く休校になりました。今までスクールでは紙に印刷したテキストを毎回渡していたので、その間にオンラインレッスンの生徒とどんどん学習の差が開いていきました。
「学びを止めない」を合言葉に、自分で好きな時に好きなだけ学んで、わからないことを授業で先生に質問できる「Code Land」の開発に着手しました。自分で学んで、授業で質問できるサイクルは、一人でどうしようと悩む時間も減るし、「もっとやりたい」という生徒のモチベーションを高めることにも役立てられます。
WebコースではWebサイト制作をゴールにプログラミング言語を学習
また、授業を通じて「もっとこうした方が理解しやすい」という先生の声もすぐ反映できるようになりました。さらに、「Code Land」では生徒の学習履歴データが残るので、生徒のつまずきやすいポイントも把握しやすくなりました。この部分に何分かけている、なんでだろうという仮説を先生が立てられるので、授業もより効果的に行うことができています。
——開発にあたり、苦労したことはありますか?
今まで紙のテキストを使用していた生徒たちがオンラインの教材にうまく慣れてくれるかが一番不安でした。しかし、いざスタートしてみると、使い方がわかれば大人よりもどんどん使いこなしていくんですよ。びっくりしました。ただ、やってみるまでには「1年生でも大丈夫か」など、メンター陣も心配していたので、何よりでした。
「Code Land」のログイン画面
▼デザインのこだわりは、あえて子どもに寄せないこと
——CodeLandは海っぽいデザインですよね。なぜ海にしたのですか?
CodeLandのデザインは、中世の海賊や海をテーマにしています。海賊は、自分でやりたいことを決めています。子供がやりたいことを支援する存在でありたいので、海をモチーフにしました。
——CodeLandのデザインでこだわった点はありますか?
子供っぽいデザインにならないようにしました。プログラミングを学んでいる子供たちは、大人顔負けのスキルがある子も多く、背伸びしたい子が多いです。実際に、私が読むような大人向けの漫画を読んでいる子もいます。そのため、大人っぽいデザインにしました。
——「Code Land」の開発において工夫した点を教えてください。
自分たちで開発するという内製化にとことんこだわりました。というのも、「Code Land」を改善したいときにフットワーク軽く開発することができるからです。たとえば、先生がテキストを編集しやすいようにマークダウン記法で作成しているのも1つです。また、先生からのフィードバックも教材開発に活かしたかったので、先生が教材に対してコメントする欄も用意しました。
最初のプロトタイプは私1人で作っていましたが、今は開発メンバーも加わりスピードが上がりました。これからも学び手や先生・時代に合わせ、「Code Land」をよりよいものにするために成長を続けていきたいです。
今回のオンラインインタビューの様子
▼子どもたちの中から世界を変えるようなIT界のヒーローを
——今後はどのようなことに取り組んでいきたいですか?
Apple創業者のスティーブ・ジョブズやWindows創業者のビル・ゲイツのような「世界を変えた人」って、日本人だと誰が思い浮かびますか?
日本の子ども達の中からも、ITの力で世界を変えるヒーローがどんどん出てきてほしいです。そのためには、目標や良きライバルの存在が必要だと考えます。
「Code Land」でもオンラインレッスンの仲間同士で日本全国に限らず、世界中から自分の作品を年に1~2回発表したりする場があったりします。
参加した子の中からは、PythonやScratchで作った作品が全国レベルのコンテストでも最優秀賞を取ったりと、結果も出始めています。こういうチャレンジする場や切磋琢磨できる環境を通じて、子ども達の成長を後押ししていきたいです。
生徒限定のオンライン発表会では小・中・高校生が海外からも参加
——最後に、この記事を読んでくれている親御さんにメッセージをお願いします。
常に新しいことを知る努力を続けることが大事だと思います。子供に将来の夢を聞いても、自分の知っている職業の中からしか答えることができません。そのため、親に限らず社会全体で子どもの選択肢を広げてあげてほしいです。
特に賢い人に限って、物事を取り組む前にやらない理由を考えてしまいがちです。失敗を恐れず、まずは、やってみてから判断をしていってほしいと考えます。
プロキッズインターン生もインタビューに参加しました。ありがとうございました!
【プロフィール】
原 正幸
株式会社プロキッズ 代表
( https://prokids.jp/ )
一般社団法人 日本ゲーミフィケーション協会理事
国立 名古屋工業大学非常勤講師
NECでのSEや事業立ち上げを経て独立後、大手企業の新入社員教育などに従事。子どもが生まれたことを機に、プロキッズを設立。
ハッカソン2連覇。学研やSMUA2015ファイナリスト、ウィルグループのHINODEアクセラレータプログラムにてアライアンス賞受賞。
■参考URL
Code Landリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000017100.html